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10.「ハッシュ!」を世界に配給する、フォルテシモ
11.記者会見−片岡礼子がフランス語で挨拶
12.オフィシャル上映−カメラトラブル発生
13.カクテル・パーティーフランス配給決まるのニュース
14.橋口監督は終日取材が続く
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10、「ハッシュ!」を世界に配給する、フォルテシモ
モニカさん

 橋口亮輔監督作品「ハッシュ!」のワールドセールスエージェントは、オランダに本拠を構えるフォルテシモ・フィルム・セールス。この会社では、岩井俊二監督作品の「四月物語」、矢崎仁司監督作品「三月のライオン」、サブ監督作品「MONDAY」、諏訪敦彦監督作品「M/OTHER」などの日本映画をはじめ、ウォン・カーウァイ監督作品の「恋する惑星」「ブエノスアイレス」や韓国映画「八月のクリスマス」、タイ映画「アタック・ナンバー・ハーフ」、フィリピン映画などのアジアの映画を世界に配給する。カンヌには、副社長のMr.WOUTER Barendrecht(バウターさん)をはじめとするスタッフが、やはりクロワセット通りに面するホテルの部屋を貸し切り、各国の映画関係者や配給会社との商談に多忙であった。ホテルの門扉には、「ハッシュ!」のポスターが貼られてあった。なかなか目立つ!(1枚きりじゃなくもっと貼ってくれよ。)

 今年は「ハッシュ!」以外にも映画祭に出品された作品を携えてのカンヌ入りだそうだ。ちなみにその作品は、【長編のコンペティション】に侯孝賢監督作品の「MILLENNIUM MAMBO」と蔡明亮監督作品の「WHAT TIME IS THERE?」、【ある視点】にウィシット・サーサナティヤン監督作品の「TEARS OF THE BLACK TIGER」となかなか魅力的作品を配給している。部屋の入り口では、レトロなアメリカ西部劇のスタイルで、テンガロンハットにガンベルト、腰をひねって銃を構える男の看板が、我々を出迎える。しかし、顔立ちはアメリカ人ではない、マカロニでもない。よく見るとタイ人で、タイ映画の宣伝看板のようだ。タイで西部劇が作られたんだろうか?「TEARS OF THE BLACK TIGER」の看板らしい。

 カンヌでの「ハッシュ!」の上映、記者会見、取材の仕切は、フォルテシモが進めている。夕方、スケジュール等についての打ちあわせを、現地宣伝スタッフと行う。全体の統括担当は、フォルテシモのMr.MARNIX Van Wijk(マーニックさん)で、いつも携帯電話と連動した小型のレシーバーマイクが手放せないほど超多忙の中で、仕切っている。「俺たちに明日はない」で、いつもボニーとクライブと組んで仕事をするC・W・モス役のマイケル・J・ポラードを連想させる。フランス国内のプレス担当がMs.MONICA Donati(モニカさん)、オリエント的な顔立ちが魅力的で、立ち居振る舞いが実に優雅だ!それ以外の海外プレス担当は、イギリスの宣伝会社FALCO.INKのMs.MARY Flanagan(マリーさん)、連日の強行軍から、芝生の上に寝転がって一休みという場面もある、情熱家タイプだ。そして通訳は、シグロにもお馴染みの、「ハッシュ!」英語・フランス語版それぞれの翻訳者で、一方がMs.LINDA Hoaglund(リンダさん)、他方がMs.VALERIE Dhiver(バレリーさん)。お二方とも取材・記者会見などに同行してくれる。大柄の体躯のリンダさん、妊娠8ヶ月のお腹を抱えたバレリーさん、大変に心強い女性たちだ。

 橋口監督に対する取材スケジュールが、前もって日本で聞いてたより増えている。ほとんど取材のため自由な時間が取れそうにない。映画の評判がいいためだろうか?

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11、記者会見−片岡礼子がフランス語で挨拶
記者会見

 5月14日、カンヌ2日目−今朝は薄曇り、半袖では肌寒い陽気だが、気温は上がりそう。

 朝9時から「ハッシュ!」のプレス試写。我々はこれには立ち会わず、11時30分からの記者会見に合わせてラ・マルメゾンに集合する。プレス試写の反応がいいと言うことを耳にする。橋口監督はじめ田辺誠一、片岡礼子、高橋和也そして山上が記者会見に出席。質問は、映画「ハッシュ!」で意図したこと、タイトルの由来、役者3人の微妙な関係がよく撮れてると感心したがどうやって撮ったのか、今後の予定は等々。私は、ビデオカメラを廻す。問題なく廻っている。会見中はともかく廻しっぱなしとするが、実はスチールも撮る事になっていて、悩んだ。右手でビデオを支え、左手にスチールカメラを持ってスイッチを入れて、シャッターを押す。ブレが気になるが、エーイままよ!オートカメラは、こんな時にほんとに助かるし、優秀だ。腕はなくともともかく見事に写る。現像してみて感心した。しかし、私の操作の仕方に問題があり、なにかパノラマ撮影のボタンにでもさわったらしく、できあがった写真の上下には黒く膜が出来てしまった。会見の最後に、片岡礼子がフランス語でメッセージ、盛んな拍手の中で終了した。

 監督以下主演の3人は、続いてラ・マルメゾンの外でスチール撮影。記者ばかりでなく一般のファンも簡単に混じってシャッターを押している。ここぞとばかり一緒に並んでの写真を彼らにねだって、友達同士代わる代わる撮ったり、撮られたりの場面もあった。田辺誠一ファンという、リヨンに留学中の女子学生と友達が、プレス試写を見て「おもしろかった、日本の友達に是非見るように知らせるよ。公開時、もし日本に帰ってればまた見に行きます」と。しかし、この子たちはどうやってプレス試写に入れたんだろう?

 昼は、緑の芝生が美しく、監督のインタビューや取材のためにはもってこいの、またそのために場を提供したのでしょう、広々とした前庭を持つグランド・ホテルのテラスで昼食。芝生の緑が、さらに優雅をごちそうしてくれる。橋口監督は食事中も取材。午後も、さらに続く予定だ。

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12、オフィシャル上映−カメラトラブル発生

 ノガ・ヒルトンのクラブ・カンザーンに、午後4時30分に集合。「監督週間」の代表Madame MARIE-PIERRE Macia(マダム・マリーピエール)と舞台挨拶の段取り等打ち合わせが始まった。さあいよいよ5時からオフィシャル上映だ。どんな風に、受け止められるのだろう。胸が高鳴る。打ち合わせが終わり、マダム・マリーピエールの案内で地下の会場に下り始める。カメラを廻したまま後を追う。カメラはビクターのDVL700デジタルズーム。手のひらに載る小さいカメラだ。内蔵マイクで、まわりに強い音があるとそちらを拾うので、なるべく相手に近づいて撮るようにというアドバイスをもらっていた。場内はすでにお客さんの入場も終わって、満席状態。主賓の到着待ちという状態だ。カメラトラブル!スイッチのどこかに触ったらしく、ムービーではなくスチール(!)に切り替わっている!?あわてて一旦スイッチを切る。しかし何がどうなってなにしたやら、分からない。回復。橋口監督たちはすでに舞台のそでで待機し、マダム・マリーピエールの挨拶が始まろうとしている。まごまごしていると、「もっと舞台の前面に出て撮れ」と山上の声だ。マダム・マリーピエールの挨拶が始まる。ともかく廻す。舞台にはかなり強くライトがあって、モニター画面は白くすっ飛んでいる。見ると、オートにしてるつもりが、マニュアルに目盛りを合わせてしまっている。マニュアルの場合の絞りはどこだ、シャッタースピードはどうすれば切り替わるのか?取扱説明本で1度は試みたが、実践は初めてだ。本もカンヌに持って来てるが、今は役立たない。舞台では、橋口監督が紹介され登壇してくる。挨拶が始まる。舞台下では、カメラを4〜5台持った山上が、舞台に体を乗り出して挨拶する橋口監督をパチリパチリ、フラッシュが走る。しょうがない、カメラのスイッチを再び切って、オートに入れ替える。少しはよくなったが、まだライトの強さに抗しきれるほどの絞りを切れない。監督は、片岡、高橋、田辺の順で次々と紹介し、それぞれが拍手に迎えられながら登壇する。一通りの挨拶が終わり、舞台から下がると場内は徐々に暗くなり、映写が始まる。

 日本語からリンダさんの英語訳、バレリーさんのフランス語訳と、それぞれの翻訳が適切で、その表現も十分に推敲され研鑽された成果が、如実だった。上映プリントは、フランス語字幕付だが、スクリーンの下には、英訳字幕が投影される仕組みで上映されるため、観客は、日本語のせりふと同時に間髪を入れず反応する。おかしいところでは笑うし、しゃれっ気のあるせりふにもすぐに盛んに反応する。拍手まで出る。まるで、その昔に文芸座オールナイトで日活映画を観ている気がする。ビックリしたのは、妻の容子(秋野暢子)が、勝裕(田辺誠一)の兄、勝治(光石研)に頬をたたかれるところでの拍手だ。シテヤッタリという拍手だったのか?ちょっと意外(映画を観てない方には、なんのことか分かりませんよね。申し訳ありません)。そして最後のスポイトはもう大爆笑、大笑い。こちらまでつられて腹を抱えてしまう始末。タイトルがでてローリングになると、突然2階からはスポットライトが観客席で映画を見ている橋口監督たちに当てられる。観客は立ち上がって拍手、拍手。感動的である。実は、観客の反応がいいので、これはなにかありはせんかと最後のシーンあたりからカメラを廻し始めていた。暗くて結局は音だけしか残らなかっただけでも、雰囲気は伝えられるだろう、と。しかし、スポットライトが当たり出した時には、計算外のことで、何が起こったのかすぐには見当がつかずただあわてるだけだった。帰国後撮ったビデオを見返してみると、光が強すぎて画面は白く飛び、カメラもあわててしまい混乱している様が写っており、なんとも歯がゆい。説明を加えれば状況が分ってもらえるかしら、と頼りない。拍手の後も、観客は監督や出演者に握手を求めてくる。よかったよという声がかけられる。なんでも今年の「監督週間」の中では、観客が総立ちで拍手というのは初めてだという話を小耳に挟んだりして、結構「感動!」でした。

 カンヌでは、気に入った作品にはローリングタイトルが始まるとすぐ立ち上がり拍手するんだそうで、「ハッシュ!」は非常に好意的に迎えられたということらしい。それぞれの思いを胸に会場を後にする。

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13、カクテル・パーティ−フランス配給決まるのニュース

 続いてフォルテシモ主催のカクテルパーティが、ノガ・ヒルトンそばのレストランGray D'Albion Beach で催される。ここで、フランスの大手配給会社UGC-PHが、2時間程前に「ハッシュ!」のフランス配給を決めたというニュースを聞く。そのUGC-PHのMr. Bruno Blanckaert(ブルノさん)も顔を出して、監督や出演者にパリにも是非来て欲しい旨、積極的に話していた。橋口監督ほか主演の3人は、それぞれの周りに人垣が作られ、もみくちゃの状態。入れ替わり立ち替わりにいろんな人と話が弾んでいる様子だ。そのうち「監督週間」の関係者なども続々現れ、大盛況となった。パリに住む女子留学生が、「ハッシュ!」を評して、『はじめはどうなるかと思ったが、見終わってすごく楽しくなりました。「ハッシュ!」以外の監督週間の作品を3本見ましたが、どれも内容が暗く、それに比べて「ハッシュ!」はとても明るくて、よかった』と。突然、打ち上げ花火の音。沖で、打ち上げられる数十発の花火。まるで、「ハッシュ!」の上映成功を祝して上げられているかのようだった。しかし、なぜ花火が上がったんだろう?

 パーティは、9時30分が終了予定であったが、なかなか客足がひかない。パーティー終了後予定されていたフォルテシモとシグロ関係者の打ち上げは、やっと11時ころ所定の場所に落ち着き、バウターさんの、日本語による「お疲れ様、カンペイ!」の音頭で始まる始末である。相原さん、PFF(ぴあ・フィルム・フェスティバル)のディレク ター荒木啓子さん、是枝裕和さん、是枝組の伊勢谷友介さん、ARATAさんが合流。ここは、バウターさんが10年来ひいきにしている、ベトナム人の経営するお店だ。中締めをし、バウターさんはじめフォルテシモ組が引き上げた後も、話に夢中の日本人組。しかしお店もそろそろ看板。重い腰をなんとか上げさせて、時はもう深夜2時近い。別れ際には、リンダさんが橋口監督を讃え、盛んに「よかった。よかった。とてもよかった」を連発していた。「二十才の微熱」で監督デビューし、「渚のシンドバッド」がロッテルダム映画祭でグランプリ、そして5年後に製作された「ハッシュ!」がカンヌの舞台を踏んで盛んな拍手で迎えられた、その足跡が確実にある方向を向いてる事への思いであろうか?しかし、むしろこれからの仕事が正念場であるという意味のことも強調されていた。まるで、映画のような場面だった。ところが、ここではカメラを持ってたにも関わらず、廻せてない。一旦廻す機会を失ってしまうと、なかなかきっかけが掴めなくなり、廻せなくなってしまう。精神的に駄目なカメラマンである。是枝さんと一緒に来ていた、テレビマン・ユニオンのカメラマンは、廻してたのに!

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14、橋口監督は終日取材が続く

 5月15日。薄曇り。半袖だけでは、肌寒く上着の欲しい陽気。インターネットの天気予報は明日から雨の予報。しかし、だんだん晴れて暑くなる。

 米と味噌といりこダシを持ってきていたので、市場で目にしてたエンドウ豆とタマネギかジャガイモを買ってきて、朝飯をと考えてたが、朝寝坊。パンをかじることにして、宿舎前の海岸にあるキヨスクでパンを買う。
 「アン、バケトゥ、トゥワ、クロワッサン、シルヴ、プレ」(フランスパン1個とクロワッサン3個ください、と言ったつもり)
 「bread?」(相手は、英語で答えてきた)
 「ウィ」(フランス語にこだわる私)
 「one or three ?」(オアじゃないアンドなんだけど)
 「(もう1度)アン、バケトゥ、トゥワ、クロワッサン」(さらに指でこれ1つとこれ3つ)
 「one bread,three croissant.」
 「ウィ」(そして小銭を並べて、支払いをする。)
 「good bye!」
 「オ、ボワール!」  ・・・・・・なにやってんだか!
 (※ところで、フランス語の「Oui」(ウィ)が、ウェに聞こえてくる。ウェー、ウェーと言ってるようだ。本当のところはどうだろうか?)

 午前11時30分よりグランド・ホテルでNHKのテレビ取材。広い芝生の中でインタビュー撮影。天気は、朝と変わって快晴となり、芝生の緑と白い壇、その上の白いテーブル、椅子が目に映える。橋口監督以下、田辺、片岡、高橋が席に着いて、取材が始まる。NHKのクルーは、ディレクター兼インタビューアーの渡辺さん以外、すべてフランス人。私も、この模様をビデオに収めることにし、取材の邪魔せぬよう撮影する。カンヌについて、「ハッシュ!」というタイトルの由来、監督の家族観について、役者それぞれの役作りの秘訣や今後の仕事の予定などについての質問等が続いた。

 午後1時。「監督週間」主催の昼食会。前日「監督週間」で上映された作品のクルーを招待して行われている。ここに入る前に、ここはカンヌ映画祭なんだと思わせられる出来事に出会った。ノガ・ヒルトン前が、なにやら騒々しい。人だかりが激しく、カメラマンが大勢詰めかけ盛んにシャッターを切っている。何事があったんだろう?パパラッチ?英語力が弱いため題名がはっきりしないが、美人女優が5人主演の映画の公開があったようだ。どうやらその女優たちがお目当てらしいのである。そしてその5人と思われる美女たちが、ホテルの中に入って行く際には、カメラマンも群衆も我がちに、少しでも近くで撮ろう少しでも近寄って見みようと、入り口は混乱状態となった。私もその中でカメラを廻そうとしたが、なかなか追いかけきれないし弾き飛ばされそうな気配だ。そのうちの1人は、黒のビキニに近いヘソだしルックで、黒の超ショートパンツ姿であったため、ますます助長したのではなかったか?

 しかし私も後で、この彼女がクロワセット通りの海岸沿いでインタビューに答えてるのを見つけたのでビデオに撮ったが、なかなかにいい目の保養をさせてもらった。彼女たちはホテルの2階、クラブ・カンザーンの隣のテラスから愛嬌よく下のカメラマンや群衆に手を振っている。その喧噪はしばらく続いていた。

 外の暑さに比べて、涼しい風の吹き渡る、クラブ・カンザーンのテラスは居心地がよく、ゆったりとした気分での食事となった。山上が、難しい顔をしている。イライラし出すと、すぐ顔に出る。何が原因か傍目には、よく分からない場合が多い。いろいろなことを気遣う「複雑な彼」だから。山上には、「ハッシュ!」の配給契約を、ここカンヌでフォルテシモと固め、サインするという大事な用件があった。しかし、日本で指摘しておいた事柄が訂正されておらず、今その部分の修正中だと言うことだ。サインは明朝になりそうだ。契約書の内容について、さらにリンダさんと検討していた。また、橋口監督は、食後も、リンダさんやバレリーさんの通訳で、各国の記者による取材が夕方までビッシリと予定されていた。

 橋口監督には、ほとんど自由時間がなく、落ち着いてカンヌの町を見ることも出来なかったにもかかわらず、取材に対し最後まで誠実に対応し、各記者には非常にいい印象を与えた事と思う。私たちには、この取材の間、夕方までは時間が出来たので、カンヌの町をビデオに収めるべく歩き回ることにして、ついでにショッピングと洒落込んでみる。また、宿舎に戻り、メールのチェックや簡単な報告を送信する時間に当てた。

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