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[ 2009/1/14 ] 人間の歴史を無意味にしてしまうほどの、イスラエルの妄挙に抗議します

シグロはこれまで、イスラエル・パレスチナに関する映画を製作・配給してきました。
2005年の故佐藤真監督による『エドワード・サイードOUT OF PLACE』、今年2月に岩波ホールで公開するエラン・リクリス監督によるイスラエル映画『シリアの花嫁』、そして今年5月公開予定の土井敏邦監督作品『沈黙を破る』(パレスチナ4部作)です。
今回のイスラエルによるガザ地区への無差別攻撃と、そのガザ攻撃のニュースを取り上げているNHKをはじめとする日本のマスメディアの不平等で怠慢な報道の在り方に、悲しみと怒りで体が震えます。映画を通してイスラエル・パレスチナ問題に関わってきた者として、今回の事態に対して発言する責任を感じています。
このニュースを、シグロのHPに掲載する理由です。

○自衛戦争というイスラエル側の発表
イスラエルは、ハマスによるロケット弾攻撃からの自衛的戦争と一貫して主張しています。しかし、イスラエルは数ヶ月前からパレスチナ側を攻撃し、ハマスを挑発していました。停戦を先に破ったのは、むしろイスラエル側と言えます。イスラエルの主張には、明らかなウソがあります。
ガザ地区からのロケット弾でイスラエル人が死んでいるからという主張も、事実経過のすり替えがあります。今回の報復の根拠としているロケット弾によるイスラエル人2名の死者は、今回のイスラエル軍によるガザ地区への攻撃が開始された後に起こったことです。
また、イスラエル軍はロケット弾を発射していない西岸地区へも攻撃を続けていて、パレスチナ人の若者が何人も殺されています。
しかしこのことは、ほとんど報道されていません。

○日本のマスコミがイスラム原理主義組織と表記するハマス
ジミー・カーター元米大統領ほか国際社会が選挙監視団として立会い、民主的な選挙と評価された2006年のパレスチナ立法評議会選挙で、パレスチナ人が正式に選んだ政権が、ハマスです。今もパレスチナの人たちは、ファタハよりハマスを自分たちが選んだ正統な代表と認めています。過激派やテロ組織といったイメージとは、全く違うものです。

○ハマスが使用している武器
貧弱な手製ロケット弾による攻撃と、イスラエル軍が使用しているクラスター爆弾や、アメリカ製の戦車、アメリカ製戦闘機、攻撃用ヘリ、軍艦からの攻撃を、ニュースの中で常に同等に扱う報道は公平なものと言えるでしょうか。
ガザ地区は東京の山手線の内側ほどの広さであり、壁に囲まれ檻に入れられた状態で150万人が暮らしており、1平方キロに4150人が住む世界一人口密度の高い地域です。その狭い地域に、空と地上と海から集中攻撃が加えられているのです。

○オバマ次期大統領の責任
いまだイスラエルが攻撃を止めないのは、ハマスが一掃できないからでもロケット弾の発射を止められないからでもなく、アメリカの強い支持があるからです。(ハマスを一掃するには、ガザ地区のパレスチナ人を全て一掃するしかないことを、イスラエルは分かっています)
昨年末、バラク・オバマ次期大統領は「大統領はひとり」という言葉でイスラエルによるガザ攻撃への発言を控え、その代わりブッシュ氏が「ひとりの大統領」として、ガザ地区のパレスチナ人死者が900人を越えた今でもはっきりとイスラエル支持を表明しています。
オバマ氏は、米国内の経済破綻の問題では積極的に発言や提言をしている「ひとりの大統領」ですが、オバマ氏のイスラエルに対する沈黙が、攻撃容認の意思表示になっていることは厳然たる事実です。

○今回の戦争が続けられているのはなぜか
いくつかの政治的事情が関わっていると思いますが、アメリカの経済問題が大きく背景にあると考えられます。アメリカ経済の建て直しにとって、戦争はカンフル剤です。
2年前にアメリカはイスラエルに対して、10年間で300億ドルの追加軍事支援を決めていますが、軍事支援は本質的にアメリカ国内の軍需産業を利する形での武器の供与を伴うものです。
イスラエルは2月10日に総選挙を控えていますし、アメリカは自国経済の建て直しに世界中から資金を集める必要に迫られています。こうした利害が、イスラエルとアメリカを強く結びつけていると思います。

○憂うべき事態
今のままでは、出口を無くし未来に対して自暴自棄となったパレスチナ住民による自爆攻撃が、今後急増するのではないかと恐れます。
更に憂慮されるのは今回のガザ攻撃によって、また、マスメディアによる意図的とも思える報道の怠慢によって、地球上のあらゆる地域、例えばスーダンやダルフールやチェチェンやチベットなどで起こっていることがニュースからこぼれ落ち、それぞれの地域や国で支配の側に立つ者に、やりたい放題できるというサインを送ることになっている事態です。
強権的で一方的な不平等が、世界中に、そして私たちの身近な社会にも広がっていると感じます。
考えている時ではない。私たちにできることを、今すぐに始めなければならないと思います。
(文責・山上徹二郎)

*パレスチナに関する詳しい情報を知りたい方は、以下のデモクラシー・ナウ!ジャパンをお勧めします。
http://democracynow.jp/subomov/20081229-1

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