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『花はどこへいった』から3年——坂田雅子監督 最新作 沈黙の春を生きて Living the Silent Spring ベトナム、アメリカ——いまだ癒えぬ枯葉剤の傷痕

監督のことば&プロフィール

50年前、レイチェル・カーソンは以下のように警告した。
化学物質は放射能と同じ様に不吉な物質で世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまいます いまのうちに化学薬品を規制しなければ大きな災害を引き起すことになります 『沈黙の春』より
放射能と化学薬品。それは、どちらも進歩という名のもとに人間が作り出してしまい、制御できなくなってしまったものだ。

前作『花はどこへいった』でベトナムの枯葉剤被害の実態に触れた私は、戦後35年たったいまも、被害はアメリカの帰還兵にも広がっていることを知り、渡米した。そこで出会ったのは、私と同じように帰還兵を夫に持った未亡人や、その子供たちだった。 戦争の傷痕は、当時生まれてさえいなかった子供たちに、国境を越えて残る。50年前の警告は聞かれなかったのだ。

未来の世代に再び負の遺産を残さないように、いま私たちに何ができるのだろう。この映画は、その一つの問いかけである。

プロフィール


撮影:石塚康之

坂田雅子(Sakata Masako)

ドキュメンタリー映画監督
1948年、長野県生まれ。65年から66年、AFS交換留学生として米国メイン州の高校に学ぶ。帰国後、京都大学文学部哲学科で社会学を専攻。
1976年から2008年まで写真通信社に勤務および経営。
2003年、夫のグレッグ・デイビスの死をきっかけに、枯葉剤についての映画製作を決意し、ベトナムと米国で、枯葉剤の被害者やその家族、ベトナム帰還兵、科学者等にインタビュー取材を行う。
2007年、『花はどこへいった』を完成させる。本作は毎日ドキュメンタリー賞、パリ国際環境映画祭特別賞、アースビジョン審査員賞などを受賞。日本はじめ世界各地で上映されている。
2011年、NHKのETV特集「枯葉剤の傷痕を見つめて〜アメリカ・ベトナム 次世代からの問いかけ」を制作し、ギャラクシー賞、他を受賞。

前作『花はどこへいった』についてはこちら
http://cine.co.jp/hana-doko/
シグロ
2011
<87分>
長編ドキュメンタリー
HDV・カラー
日本語、英語、ベトナム語
 
企画・監督:坂田雅子
製作:山上徹二郎
編集:ジャン・ユンカーマン
ナレーション:加藤登紀子
撮影:ビル・メガロス、山田武典、坂田雅子、ロバート・シーモン
整音:小川 武
音楽:グエン・タイン・トゥン、難波正司