イントロダクション

中国では、1960年代の文化大革命から1989年6月4日の天安門事件を経て、多くの人々が世界各国への亡命を余儀なくされてきた。かつて万里の長城を築き、他民族の侵略を遮断した歴史を持つ中国政府は、経済発展の続く現代においても情報封鎖や言論統制という目に見えない壁を築き、民主化の動きを封殺している。 このドキュメンタリーは、故郷を追われ、異国の地で不自由な生活を強いられている亡命知識人、作家、芸術家、詩人、政治活動家たちの発言を通して、中国の民主化が意味するもの、そして人間の尊厳について問いかける。 亡命者とは何か。彼らは中国に限らず世界中の国に存在しており、決して忘れられてはならない人々である。亡命者の存在は、政治や文化の寛容さについて考えること、行動することを常に私たちに求め続けている。

監督である中国人の翰光(ハン・グァン)は、日本に拠点をおき映像や文章など表現の場で幅広く活躍。翰光は1987年に留学生として来日、学生時代に彼に深く影響を与えた表現者や知識人たちが1989年以降、中国大陸から忽然と姿を消し海外へと亡命していることを知る。翰光は、中国人として、また作家として、民主化を求める亡命者たちの思想を伝えるべく本作の製作を決意した。

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