戦後70年 戦争体験者の最期のメッセージ 映画 『筑波海軍航空隊』 公式サイト

出演者・スタッフ

出演者/証言(年齢は取材当時)

木名瀬信也(きなせ・のぶや)さん 95歳

木名瀬信也(きなせ・のぶや)さん 95歳

元・特攻隊員/第13期海軍飛行専修予備学生
旧制東京文理科大学在学中に学徒出陣

「要するに日本人は勝ち戦のことばかりしか考えていない。負け戦になったら、負け戦をどうやってまとめていくか。僕は日本軍は、もっとマイナス面を考えるべきじゃないかと…。ま、戦争は勝敗があるのが当たり前なんで、我々は負けたからといって…まあ、戦争はやっちゃいけませんな。戦争をやっちゃいけないかというのは、大所高所から見て、勝ったものも、負けたものも、みんな損しているんだ。勝ったものがですね、それでもって得をしたなんてことはないんですもの。」

柳井和臣(やない・よしおみ)さん 92歳

柳井和臣(やない・よしおみ)さん 92歳

元・特攻隊員/第14期海軍飛行専修予備学生
慶應義塾大学在学中に学徒出陣

「特攻隊員になった以上はね、これはもう覚悟が決まっています。いつ死のうが、少し死ぬのが延びようが、早まろうがあんまり関係ないんですよ。もう死に対しては割り切っておりましたね。死か生か、ある程度の選択を与えられている人だったら、これは悩みますよね。でも生の選択はないわけですから、特攻隊というのは。」

橋本義雄(はしもと・よしお)さん 92歳

橋本義雄(はしもと・よしお)さん 92歳

元・特攻隊員/第14期海軍飛行専修予備学生
早稲田大学在学中に学徒出陣

「戦闘機乗りが戦闘機を駆使して戦うには、最低1000時間なんですよ。1000時間なんてとんでもない。私で200時間だからね。200時間で何やれ、あれやれ、これやれで、とても戦えるもんじゃないですよ。そこへ持ってきて、ガソリンは少ない、オクタン価が低い、そういう状況下でね、戦争しろって言うんですからね。これば、もう言う方も言う方だし、そういう状況下でよくぞ戦争なぞ起こしたなと、本当にそう思いますよ。」

流 政之(ながれ・まさゆき)さん 91歳

流 政之(ながれ・まさゆき)さん 91歳

元・特攻隊員/第14期海軍飛行専修予備学生
立命館大学在学中に学徒出陣

「みんな戦争をおちゃらけにしてるから、戦争っていうのは、人殺しだからね。で、やっぱり悲しいことだけど、日本の男の執念とか、残っているんですよね。」

スタッフ

ナレーション:原 日出子(はら・ひでこ)

ナレーション:原 日出子(はら・ひでこ)

1959年、東京都生まれ。79年に『夕焼けマイウェイ』で映画デビュー。81年、NHK連続テレビ小説「本日も晴天なり」の主役に抜擢され、一躍注目される。以後ドラマと映画で活躍、その演技が高く評価され、理想の母親像として定着する。これまでの主な映画作品に『ションベンライダー』(83年)、『スーパーの女』(96年)、『Shall we ダンス?』(96年)、『あなたを忘れない』(07年)、『ネコナデ』『ぼくのおばあちゃん』(08年)などがある。最近作は『雪の華』『育子からの手紙』『SURELY SOMEDAY』『僕たちのプレイボール』など。

<原日出子さんからのコメント>

戦後70年…未だこの地球上では戦争が繰り返されています。決して終わってはいません。こうしている間にも罪なき人々が砲弾に倒れ、尊い命を奪われています。この地球の歴史の中で、人間だけが無意味な殺し合いを繰り返して来ました。
私達の日本は二度と戦争を繰り返さないと誓い、今日まで世界に平和を訴えてきた勇気ある国です。
その誇りを捨てることなく、守っていかなくてはならないと思います。
先の戦争で失った多くの尊い命 無駄にすることのないように、私達は絶対に忘れてはならないのです。そして、次の世代へと語り継いでいかなくてはならないのです。
本作のナレーションに参加して、その想いを強くしました。

監督:若月 治(わかつき・おさむ)

監督:若月 治(わかつき・おさむ)

1953年、東京都生まれ。立教大学法学部卒業。アテネフランセ映画技術美学講座高等科卒業。1980年土本典昭監督作品「水俣の図・物語」に助監督として参加。1982年、ドキュメンタリー映画「新せっけん物語」を初監督。その後、NHKを中心にテレビのドキュメンタリー番組、美術番組、自然番組などを制作。主な作品としては「アルビン・トフラーの戦争と平和」(フジテレビ)、「記録することの意味」(NHK/NHK総局長賞受賞)、「海を渡った沖縄人」(NHK/ギャラクシー奨励賞受賞)など。現在は「日曜美術館」、「世界遺産への招待状」(いずれもNHK)などの番組を制作している。

<監督の言葉>

今なぜ「特攻隊」の映画なのか?そんな風に思われる方も多いかもしれません。
これまで特攻隊というと“国のために命を投げ出した英雄”という文脈で語られてきました。しかし様々なエピソードや当時の若者たちの声を聞いていくと、見えてきたのは屈託なく青春を謳歌する普通の若者たちの素顔です。恋をし、スポーツに熱中し、歌や文学に酔いしれる。そんな当たり前の日々を奪われてしまった哀しく切ない現実でした。
映画で語られるのは、単に歴史の証言でも過去の悲劇でもありません。戦争という現実は、今も身近にあり、誰もがいつ巻き込まれてもおかしくないからです。
敵も味方も含め、失われた多くの若者たちの命、その一人一人の人生を知り、命の重みを改めて感じることが、戦争を経験された方たちから託された最期のメッセージだと思います。