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勧進

人間の心に触れたい、チッソ重役たちの家への歓進行

作品写真

上映申込

上映用のメディアの貸出も行っています。

DVD、16ミリプリント貸出:10,000円

青林舎
1971
24分

製作:青林舎
監督:小池裕子
撮影:佐々木正明
録音:久保田幸雄

水俣病巡礼団

 1971年8月26日、水俣病患者の会の代表13人が出張裁判のため、上京した。9月1日、4班に分れ、彼らはチッソ関係者の自宅をまわった。「勧進」の目的で。「勧進」にはもともと、人々に仏道をすすめて、善にむかわせるという意味がある。巡礼姿の一行は、長谷川常務取締役宅を皮切りに、チッソ重役宅を7軒まわったのである。一軒ずつ歩けば、気持ちが伝わらないはずがない、との希望が託されていた…。しかし、門は閉ざされ、家族にはだれも会えなかった。背中に描かれた「水俣病巡礼団」「同行二人」「苦海追放」の文字、門前にむなしく響く御詠歌が、画面に凍りつく。

闇にむかって投げられる言葉

 「勧進」はまた、チッソ本社での交渉の際、チッソビルの前でも行なわれた。ビルの中では、患者と関係者の言葉がつぶてのように吐き出されている。しかし、それは闇にむかって投げられ、行方すら知れないものとなっていく言葉だ。 「いろんなことを聞いてもらおうと思って寄ったのです」「私はこの目で初めて、幼い患者を見たときのことが忘れられない。5つ6つの子どもが畳の上でゴロゴロしていてね。その姿が1週間くらいチラついて、よく眠れなかったのですよ」
 そんな言葉にも、会社側の対応は無表情で冷たい。

社会の闇

 彼らの話は、第二の水俣・新潟の人々のことに及ぶ。
 「新潟にも水俣病があるなんて、知らなかった」という声の悲痛さに、「新潟の患者さんには(つらくて)会えない」という訴えの真実の前には、立ち止らざるをえない。この映画のむこう側に黒々とひろがる「社会の闇」にむかって、私たちには、どんなことができるのだろうか。

DVD情報

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「実録公聴委」「勧進」「死民の道」:3作品同時収録
※パラブラ映画部オンラインショップ(外部サイト)