スライド ひろしまを見たひと−原爆の図丸木美術館−
語りつがねばならぬ歴史がある―。
丸木夫妻の半生をドラマ化
原爆の図丸木美術館+青林舎共同作品
1985
25分
製作:原爆の図丸木美術館+青林舎共同作品
監督:土本典昭
製作:佐々木正明/山上徹二郎
構成・編集:土本典昭
撮影:本橋成一
音楽・ピアノ演奏:佐藤允彦
ナレーター:小室等
丸木位里・丸木俊夫妻の40年に及ぶ共同制作の足跡をたどり、作品を解説する。
丸木夫妻の共同制作の原点は、1945年8月6日に原爆が落とされた広島の惨状である。この悲劇を繰り返さないよう平和への祈りを込めて描かれたのが、超大作「原爆の図」。そして「南京大虐殺の図」「アウシュビッツの図」「沖縄戦の図」へと画業の旅はつづく。
作品をひとつひとつ解説しながら、夫妻の人生と画業の全体像が見えてくる。「『この絵は、徹頭徹尾リアルに描こうと思った・・・』と位里さんはいう。『当時、原爆の報道は一切禁止されていた。発表された写真はアメリカの飛行機の上から撮ったキノコ雲だけですわね・・・、こんなひどい出来事が、ズルズルと埋もれてしまうことがあってはいけない。私たちは見たんだからね』」
「ふたりが、身内の安否をたずねて広島に帰ったのは、原爆投下の3日あとであった。これは、その時の目撃をもとにして描かれた。発表されるや、批評家は息をのんだ」「爆心地を証言する人は死んだ。ふたりは、辛うじて生きのこった被爆者の話しを聞き、想像と写実のギリギリの接点で、あの日のヒロシマを描いた」
丸木美術館に、戦争を知らない子どもたちが訪れる。俊さんは折にふれ話し相手になっている。ある中学生の少女はこういった。「原爆はこわいと思うけど、よく分かりません。だって経験してないことですから」俊さんはこうこたえている。「経験したときには、もう死んでいる、原爆とはそうしたものなのです。だけど、あなたがたは幸せなことに想像力をもっている?その想像力をもっている?その想像力で、力いっぱい生きて下さい」