エドワード・サイード OUT OF PLACE
サイードの遺志と記憶を辿る、佐藤真監督、渾身のロードムービー
サイードの遺志と記憶を辿る、佐藤真監督、渾身のロードムービー
シグロ
2005
2時間17分
製作:シグロ
監督:佐藤真
企画・製作:山上徹二郎
監督:佐藤真
協力プロデューサー:ジャン・ユンカーマン
撮影:大津幸四郎、栗原朗、佐藤真
整音:弦巻裕
編集:秦岳志
2003年9月、パレスチナ出身の世界的な知識人でありパレスチナ人であるエドワード・サイードが亡くなった。後半生を過ごしたニューヨークでもなく、生誕の地であるエルサレムでもないレバノンのブルンマーナに、2004年春、サイードの墓は作られた。彼の複雑な背景を物語るその墓所のエピソードから、映画は始まる。
荒れ狂う濁流のように歴史の中を流されるパレスチナの土地と人々の暮らし。周辺のアラブの国々で難民として暮らすパレスチナの人々。他方、ディアスポラとして長年迫害の歴史を生きてきたユダヤ人達。世界中からイスラエルに帰還してきたそのユダヤ人達が抱える、被害と加害の混在する深い矛盾。
エドワード・サイードの遺志と記憶をめぐる旅は、イスラエル・アラブ双方の知識人達の証言を道標に、サイードが求め続けた和解と共生の地平を探る。
そして、サイードとともにイスラエル・パレスチナの子供たちの未来のために、音楽による共生を実践しようとしていたダニエル・バレンボイムによる、追悼講演の時のピアノ演奏で映画は静かに終わる。
1935年イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。
父の事業のためにカイロで育ち15歳で渡米、プリンストン大、ハーバード大で学位を取得。後にコロンビア大学英文学教授。
比較文学の世界で重要な著作を発表する一方、文学批評家としても世界的に知られる。
またパレスチナ問題の代表的な論客として注目を集め、77年からパレスチナ民族評議会議員。
93年のオスロ合意を前にアラファトと決裂。右傾化するアメリカ言論界において妨害・迫害にもかかわらず勇気ある発言を続ける。
2003年9月25日、白血病に倒れる。
享年67。遺骨は妻マリアムの故郷レバノンのブルンマーナに葬られた。
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